子供の頃の僕はある理由によって、とても生産性が低かったということを思い出した。
それはエアコンを使っていなかったということだ。
おそらく親は電気代を節約したかったのだろう、僕の家ではエアコンを使うということはほとんど禁止されていた。
それ以外にも日常的にいろんなことを節約していたので、僕は子供の頃本気で自分の家は貧乏なのだと思っていた。
しかし親は大企業で働いていたし、僕が成長するにつれ車も良いものに変わっていき、定年後はバンバン海外旅行に行ったりしているので、今思えばただの極度の倹約家だったのだろう。よく言えば老後に向けてしっかりと準備をしていたわけだ。
だが、子供の僕にはキツかった。
エアコンを使わないと何が起きるのか。
それは当たり前だが、部屋の温度が極端に暑かったり寒かったりするということだ。
たしかに夏は扇風機はあったし、冬はこたつはあった。
しかし、扇風機やこたつというものは、温度を変えられる場所が部屋の限られた部分のみなので、そこから動けなくなる。
夏は扇風機の前から動けないし(しかも扇風機の前にいても暑い時は暑い)、冬はこたつに入ってしまったら、もう出ることはできない。
一度こたつに入ってしまったら、トイレに行くのも寒くて嫌になってしまう。
生理的欲求ですら億劫なのだから、それ以外のことなど何もできない。
夏は夜がキツかったのを覚えている。エアコンを使わないので、窓を開けて、扇風機をつけても、それでも暑すぎて眠れないのだ。
夜しっかり眠れていないから、寝不足気味だったし、もちろん日中も暑すぎて何もやる気が起きない。
やる気があるから何かを始めるのではなく、何かを始めるからやる気が出てくる、とはよく言われるが、子供の頃の僕は本当に何もしていなくて、やる気もなかったと思う。
夏とか冬というのはそういうものなのだろうと、子供の頃は思っていた。
しかし、大人になってから自分で部屋を借りて、自分で電気代を払い、自由にエアコンを使えるようになって、部屋を快適な温度に保つことによって、パフォーマンスが全然変わったと思う。
冬でも部屋を暖かくしていたらなんでもできるし、もちろん夏も涼しいし、そして、寝る時もとても快適に睡眠をとることができる。
何が言いたいかというと、環境を整えるということはとても大事だということだ。電気代をケチって生産性が下がるくらいなら、電気代くらい払ってエアコンをつけた方が良いだろう。
もちろん人間とはとても未熟なものなので、親を責める気持ちは全くない。
子供の頃の僕は、自分の実力を全然出せていなかったのだなと、大人になってから気がついた。