人類が誕生してから今まで、本当にたくさんの人たちが、世界の仕組みを科学で解き明かしてきた。
火はなぜ燃えるのか。
星はなぜ動くのか。
病気はなぜ起きるのか。
人はなぜ生まれ、なぜ死ぬのか。
最初は、きっと何もわからなかったはずだ。
雷は神の怒りで、病気は呪いで、夜空はただの不思議な光の集合だった。
それでも人は考え続けた。
観察して、仮説を立てて、試して、失敗して、また考える。
そうやって少しずつ、「わからない」を「わかる」に変えてきた。
その時代ごとの天才たちが、その積み重ねを担ってきた。
名前が教科書に残る人もいれば、残らなかったけれど、確実に次へつないだ人もいる。
彼らが発見した法則や理論は、次の世代に受け継がれ、修正され、発展し、また新しい発見を生んでいく。
一人の天才が世界を変えた、というより、無数の人の「わかりたい」という意思が、バトンのようにつながって今に至っている。
その結果、僕たちの今の時代はどうだろう。
昔の人たちから見たら、たぶん魔法の世界にしか見えない。
遠く離れた人と一瞬で会話ができて、世界中の知識に指先ひとつでアクセスできる。
かつては命を落としていた病気も、今では当たり前のように治療できる。
平均寿命は伸び、生活は圧倒的に便利になり、豊かさの基準そのものが変わってしまった。
これは偶然でも、奇跡でもない。
何百年、何千年と続いてきた人類の試行錯誤の結果だ。
それでも人は過去を美化し、「昔のほうが良かった」と言いたくなるかもしれない。
人間はすぐに忘れてしまう。
かつてどれだけ不便だったかを。
そして、あっという間に慣れてしまう。
今どれだけ便利な世界に生きているかを。
でも僕は、どんどん良い時代になっていると信じている。
少なくとも、病気で苦しむ人は減り、情報は開かれ、選択肢は増え続けている。
完璧じゃないし、問題も山ほどある。
それでも全体として見れば、人類はちゃんと前に進んできた。
だから僕は、「昔が良かった」とは思わない。
不便さや苦労を美化するより、積み重ねてきた知恵と努力を、素直に評価したい。
もちろん、科学は万能ではない。
間違うこともあるし、時代が進めば否定される理論もある。
でも、それでいい。
間違いを認め、より正確な理解へ更新していけること自体が、科学の強さだからだ。
過去の人たちがそうしてきたように、「わからない」を放置せず、次へつないでいける限り、この世界はまだ良くなっていく。
そう信じられる理由が、すでにここまで積み上がっている。
だから僕は、科学を信じてるし、そして未来を信じてる。